かけはた動物病院
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2009年12月27日

ブルセラ・カニス抗体が陽性であった犬のブドウ膜炎

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犬のブドウ膜炎の要因のひとつとして、ブルセラ・カニス感染症(以下、ブルセラ症)が報告されています。ブルセラ症によるブドウ膜炎は、肉芽腫性虹彩毛様体炎、浸出性網膜炎および前房蓄膿が特徴とされていますが、日本での報告は少なく発生状況は不明です。
今回、眼瞼痙攣、流涙、角膜浮腫、前房フレア、虹彩・毛様体部の肥厚、視神経乳頭の腫脹、漿液性網膜剥離を特徴とするブドウ膜炎を呈した4例の犬に対し、ブルセラ・カニス抗体を測定したところ陽性であったので、ブルセラ症によるブドウ膜炎を疑いました。
治療により眼症状は良好に反応し全例に改善が認められましたが、4例中2例に再発が認められ、2例に発熱、腰痛、精巣炎、皮膚炎などの全身症状が認められました。また、全例に長期の抗生物質投与を実施しましたがブルセラ・カニス抗体価の陰性化は認められませんでした。4例中2例は良好に経過し、1例は緑内障により視覚喪失、1例は合併症により死亡しました。
ブルセラ症は治療に抵抗性であり、眼症状の改善がみられたとしても、再燃や全身症状の悪化を含め、予後に十分な注意が必要であると考えられました。犬のブルセラ症は本邦においても広く分布していると思われ、典型的な全身症状をともなわなくても、犬のブドウ膜炎の原因のひとつとしてブルセラ症の関与を積極的に疑う必要があると考えられました。
posted by かけはた at 18:09| 眼科診療室 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

犬のVKH様症候群

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犬のブドウ膜皮膚症候群(Uveo-dermatologic Syndrome)は、人のVogt‐小柳‐原田病(VKH disease)に著しく類似していることより、VKH様症候群とも呼ばれています。本疾患はメラノサイトに対する自己免疫疾患であると考えられており、通常、ブドウ膜炎と色素脱失性皮膚炎が同時に進行します。特に秋田犬、サモエド、ハスキーに多発傾向があり、免疫反応を抑制しなければメラノサイトが破壊されるとともに炎症が他の組織に波及し、不可逆的な視機能の障害をきたす恐れがあります。犬ではプレドニゾロンおよびアザチオプリンの投与および漸減維持が推奨されていますが、積極的治療が遅れると続発症の危険が増大します。
人のVKH diseaseにおいて、日本ではステロイド剤の大量療法(パルス療法など)が中心に、欧米などでは免疫抑制剤が投与されることが多いようです。写真の秋田犬はVKH様症候群を呈したため、コハク酸メチルプレドニゾロンによるパルス療法に加えアザチオプリンによる維持療法を実施し、眼症状、皮膚症状ともに改善し良好に維持されました。しかしながら、同疾患に対する薬剤の副作用(肝障害、骨髄抑制など)のために治療を断念せざるをえない場合や、反応が悪く続発症(緑内障、白内障、網膜剥離など)の悪化ために視覚を喪失する場合も少なくありません。
posted by かけはた at 10:49| 眼科診療室 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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