かけはた動物病院
かけはた動物病院のブログ「眼科診療への取り組み」
病院紹介 眼科診療室 動物病院日記 よくあるご質問 リンク

2013年11月29日

スイッチフラップによる眼瞼形成

コピー 〜 DSC01409.JPGDSC01440 - コピー.JPGコピー 〜 DSC01496.JPGコピー 〜 DSC01543.JPG
シェルティ、雄、14歳が右上眼瞼の腫瘤を主訴に来院しました。
1年半くらい前に同部位の腫瘤の摘出を手術したのですが、数カ月後に再発したそうです。最近、その腫瘤が急速に拡大してきたとのことです。
初診時は腫瘤の大きさが上眼瞼の長さの1/2ほどの大きさであり、単純な切除では正常な瞬目運動を妨げてしまうと判断されました。しかしながら、眼瞼欠損部への皮膚移植や皮膚移動術ではマイボーム腺の欠如を招くため、14歳という高齢犬の角膜のコンディションには非常に悪影響を及ぼすものと判断されました。
そこで、下眼瞼の一部を上眼瞼欠損部に移植する「スイッチフラップ」を用いて眼瞼の再建を行いました。
まず腫瘤切除および皮弁作成し、皮弁を上眼瞼欠損部へ移植しました。
癒合が確認された16日目に再手術を行い、皮弁を切開し眼瞼を形成しました。初診から30日目に抜糸しました。病理検査の結果、腫瘤は良性のマイボーム腺腫の範疇であり、癌ではないという診断でした。
高齢の患犬は、大好きな飼い主さんとともに苦痛の無い余生を過ごすことができたようです。
スイッチフラップによる眼瞼形成は二度の手術という手間がありますが、マイボーム腺を温存することで角膜の良好なコンディションを保つことが期待できる方法と思われました。
posted by かけはた at 22:07| 眼科診療室 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月23日

猫のび漫性虹彩メラノーマ(Diffuse Iridal Melanoma)

070223.JPG090217.JPG110918-0.JPGDSC04363-1.jpg
これは仲良くさせていただいている先生が飼われている猫ちゃんの写真です。左眼の虹彩の色素沈着について相談されました。これはとても悩ましい病態です。
ぶどう膜に発生するメラノーマは犬と猫では予後が大きく異なります。
犬の眼球内メラノーマはほとんどが転移することがないのに対し、猫では高率に転移するので注意が必要です。中でもやっかいなのは、猫のび漫性虹彩メラノーマ(Diffuse Iridal Melanoma)であり、肺や肝臓に転移しやすく転移率は63%と報告されています。なんらかの眼症状が現れてから眼球摘出しても、すでに転移が起こっていることがほとんどです。強膜に浸潤する前の早期の眼球摘出が理想といわれており、そのためには視覚の有無にかかわらず眼球摘出ということになります。全身を守るために腫瘍に侵された眼を摘出するのですが、まだ見えている眼を摘出することに、飼い主様はもちろん獣医師も非常に抵抗があります。
猫のぶどう膜メラノーマの鑑別診断をするために虹彩異色、虹彩萎縮、虹彩嚢胞、虹彩母斑などの良性変化を除外する必要があります。そのためには病歴、前眼部所見に加えて、隅角検査、超音波検査は必須です。虹彩の生検はとても診断が難しく侵襲性があるのであまり実施されることはありませんが、場合によっては必要かもしれません。
び漫性虹彩メラノーマは獣医学領域では猫のみで報告されています。早期には虹彩前表面領域の色素沈着として発症し、色素沈着の範囲と量が数カ月から数年かけて進行します。腫瘍浸潤の進行にともない瞳孔不整、眼圧上昇が認められます。稀に無メラニン性メラノーマのこともあるので注意が必要です。
早期の眼球摘出を選択すべき!では、いつ摘出するのでしょうか?成書に記されている摘出時期は、視覚の有無にかかわらず、次のように判断されています。
・色素沈着の程度・大きさが進行・拡大してきたら摘出
・隅角や強膜毛様体裂の色素性腫瘤の存在がみられたら摘出
・瞳孔の形や動きの異常がみられたら摘出
・眼圧上昇がみられたら摘出
この猫ちゃんは、視覚、眼圧などには全く問題はありませんでしたが、隅角検査で腫瘍の隅角への浸潤が認められました。
00000_20130212_194451_スリット_001.JPG00000_20130212_Eye_0002.JPG
病理診断はび漫性虹彩メラノーマでした。
猫の虹彩の色素沈着にはご注意ください。
posted by かけはた at 18:06| 眼科診療室 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

犬の特発性慢性角膜上皮欠損(SCCEDs)とは?

2363_20120422_091956_スリット_001.JPG
 犬の特発性慢性角膜上皮欠損(Spontaneous Chronic Corneal Epithelial Defects:以下SCCEDs)とは通常の創傷治癒過程に準じない慢性上皮びらんであり、角膜上皮基底膜と実質表層の接着不良により発症し、すべての犬種の中年に発症報告があります。特徴的な臨床症状と基礎原因の除外により診断され、適切な治療が行われなければ長期間症状が継続します。特徴的症状として上皮欠損部周囲の容易に剥離するリング状上皮接着不良領域、様々な程度の角膜浮腫、角膜血管新生、眼疼痛、眼瞼痙攣あるいは瞬目過多、流涙、眼脂、充血などが認められます。SCCEDsの原因は解明されていませんが、電子顕微鏡レベルでの特徴的異常(上皮基底膜欠損、実質表層のヒアリン化無細胞領域:硝子様変性、実質の神経分布パターン変化)が報告されています。SCCEDsの一般的な治療法は接着不良上皮のデブライドメントおよび実質表層の掻把ですが、科学的根拠は乏しいのが現状です。SCCEDs症例の角膜実質表層に点状あるいは格子状に切開を施すことで、切開創からの瘢痕組織が上皮接着を助ける効果が認められていることから、現状では、実質表層の硝子様変性が原因として注目され、治療は角膜切開術が推奨されています。
posted by かけはた at 11:02| 眼科診療室 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

トップページ 病院紹介 眼科診療室 動物病院日記 よくあるご質問 お問い合わせ リンク集
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。