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2013年11月23日

猫のび漫性虹彩メラノーマ(Diffuse Iridal Melanoma)

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これは仲良くさせていただいている先生が飼われている猫ちゃんの写真です。左眼の虹彩の色素沈着について相談されました。これはとても悩ましい病態です。
ぶどう膜に発生するメラノーマは犬と猫では予後が大きく異なります。
犬の眼球内メラノーマはほとんどが転移することがないのに対し、猫では高率に転移するので注意が必要です。中でもやっかいなのは、猫のび漫性虹彩メラノーマ(Diffuse Iridal Melanoma)であり、肺や肝臓に転移しやすく転移率は63%と報告されています。なんらかの眼症状が現れてから眼球摘出しても、すでに転移が起こっていることがほとんどです。強膜に浸潤する前の早期の眼球摘出が理想といわれており、そのためには視覚の有無にかかわらず眼球摘出ということになります。全身を守るために腫瘍に侵された眼を摘出するのですが、まだ見えている眼を摘出することに、飼い主様はもちろん獣医師も非常に抵抗があります。
猫のぶどう膜メラノーマの鑑別診断をするために虹彩異色、虹彩萎縮、虹彩嚢胞、虹彩母斑などの良性変化を除外する必要があります。そのためには病歴、前眼部所見に加えて、隅角検査、超音波検査は必須です。虹彩の生検はとても診断が難しく侵襲性があるのであまり実施されることはありませんが、場合によっては必要かもしれません。
び漫性虹彩メラノーマは獣医学領域では猫のみで報告されています。早期には虹彩前表面領域の色素沈着として発症し、色素沈着の範囲と量が数カ月から数年かけて進行します。腫瘍浸潤の進行にともない瞳孔不整、眼圧上昇が認められます。稀に無メラニン性メラノーマのこともあるので注意が必要です。
早期の眼球摘出を選択すべき!では、いつ摘出するのでしょうか?成書に記されている摘出時期は、視覚の有無にかかわらず、次のように判断されています。
・色素沈着の程度・大きさが進行・拡大してきたら摘出
・隅角や強膜毛様体裂の色素性腫瘤の存在がみられたら摘出
・瞳孔の形や動きの異常がみられたら摘出
・眼圧上昇がみられたら摘出
この猫ちゃんは、視覚、眼圧などには全く問題はありませんでしたが、隅角検査で腫瘍の隅角への浸潤が認められました。
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病理診断はび漫性虹彩メラノーマでした。
猫の虹彩の色素沈着にはご注意ください。
posted by かけはた at 18:06| 眼科診療室 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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