かけはた動物病院
かけはた動物病院のブログ「眼科診療への取り組み」
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2013年11月23日

犬の特発性慢性角膜上皮欠損(SCCEDs)とは?

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 犬の特発性慢性角膜上皮欠損(Spontaneous Chronic Corneal Epithelial Defects:以下SCCEDs)とは通常の創傷治癒過程に準じない慢性上皮びらんであり、角膜上皮基底膜と実質表層の接着不良により発症し、すべての犬種の中年に発症報告があります。特徴的な臨床症状と基礎原因の除外により診断され、適切な治療が行われなければ長期間症状が継続します。特徴的症状として上皮欠損部周囲の容易に剥離するリング状上皮接着不良領域、様々な程度の角膜浮腫、角膜血管新生、眼疼痛、眼瞼痙攣あるいは瞬目過多、流涙、眼脂、充血などが認められます。SCCEDsの原因は解明されていませんが、電子顕微鏡レベルでの特徴的異常(上皮基底膜欠損、実質表層のヒアリン化無細胞領域:硝子様変性、実質の神経分布パターン変化)が報告されています。SCCEDsの一般的な治療法は接着不良上皮のデブライドメントおよび実質表層の掻把ですが、科学的根拠は乏しいのが現状です。SCCEDs症例の角膜実質表層に点状あるいは格子状に切開を施すことで、切開創からの瘢痕組織が上皮接着を助ける効果が認められていることから、現状では、実質表層の硝子様変性が原因として注目され、治療は角膜切開術が推奨されています。
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2012年12月23日

犬の糖尿病性白内障

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犬の糖尿病にともなう白内障はとても多く遭遇する疾患です。
柴犬、8歳、糖尿病の治療中に白内障が進行し重度の視覚障害を呈して来院されました。
主治医によるインスリン治療で血糖値がコントロールされていました。
両眼の白内障手術を無事に終えることができました。画像は術後約1年半の検診です。
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2012年11月20日

Corneal mineralization(角膜石灰化)が認められた高齢のパピヨン

パピヨン、雌、14歳が来院しました。1週間前に右眼の角膜に傷がついていることに気付き経過を見ていたのですが、急に傷が拡大したようです。Corneal mineralizationは高齢犬にみられる角膜変性のひとつであり、新陳代謝の低下した角膜実質にカルシウムなどのミネラル結晶状沈着物が認められるのが特徴で、石灰化した角膜実質が剥離すると重度の角膜欠損を呈します。角膜欠損部は通常の治癒過程では修復されず穿孔の危険性が大きいため、積極的な外科的治療が望まれます。しかしながら高齢犬への全身麻酔のリスクなどの問題があり、対症療法を選択せざるを得ない場合もあります。
本症例も角膜穿孔への進行が予想されたため、結膜弁移植術を提案しましたが手術の同意は得られず、角膜の露出を防ぐ目的で約2カ月間の一時的眼瞼縫合を実施しました。欠損部周囲へのわずかな血管新生がみられましたが角膜欠損部は修復されませんでした。
今回の結果からCorneal mineralizationによる角膜欠損を呈する高齢犬では、積極的な外科的治療を提案すべきと考えられました。もし麻酔が危険と判断される場合も何らかの対症療法を実施すべきであり、高齢犬の角膜に結晶状沈着が見られる場合は予防的にヒアルロン酸点眼や眼瞼マッサージ・温罨法などにより角膜および眼瞼マイボーム腺のコンディションを良好に保つ必要があると考えます。
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角膜の異物

ゴールデン・レトリバー、雄、13歳齢が、昨日から左眼周囲の皮膚発赤、流涙、眼脂を主訴に来院しました。
左眼の縮瞳、角膜浮腫、角膜結晶状沈着物、そして異物?・・・角膜に草が刺入していました。
点眼麻酔とピンセットで無事に異物を除去しました。
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posted by かけはた at 21:16| 眼科診療室 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月12日

酪農学園大学眼科症例カンファレンス

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毎月行われている勉強会です。
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2010年12月16日

水晶体前房内脱臼から角膜穿孔に至った症例

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症例は、パピヨン、雌、7歳齢です。1カ月半前に右眼が白濁、しょぼつき、疼痛、眼脂。主治医にて注射、点眼で改善。2週間前に再び右眼が白濁、疼痛。白内障と緑内障との診断で治療をしたが改善せず。眼科検査のため紹介され来院しました。
初診時所見において右眼の結膜充血、角膜白濁、しょぼつき、疼痛、眼脂。眼科検査において右眼の威嚇瞬目反応、眩目反射の消失、水晶体の前房内脱臼および眼圧上昇が認められました。
治療計画として右眼に強膜内シリコン義眼挿入術を提案したのですが同意を得られなかったため、非ステロイド消炎剤と炭酸脱水酵素阻害剤の点眼による経過観察としました。
初診から12日後に「昨夜からの右眼のしょぼつきがあり、朝起きたら寝床に白い物が落ちていた。」と来院されたところ、角膜穿孔による水晶体の脱出が認められました。穿孔部には細菌の繁殖は認められなかったことから、前房内脱臼した水晶体と角膜内皮の摩擦による機械的損傷に加え、続発緑内障による圧力によって角膜内皮が破綻し、角膜穿孔に至った可能性が考えられました。
DSC05011 (2).JPGDSC05014 (2).JPG本症例は、右眼にも水晶体亜脱臼が認められたことから、原発性あるいは遺伝性の水晶体変位が考えられました。いずれにしても、このような状況では非常に予後が悪いということが実証された貴重な症例でした。水晶体前房内脱臼の合併症のひとつとして角膜穿孔もあり得るため、早期の外科的治療が望ましいと思われました。
posted by かけはた at 20:53| 眼科診療室 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

瞬膜腫脹を呈したゴールデンレトリバー

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症例はゴールデンレトリバー、雄、2歳齢です。3週間前から左眼の充血、眼脂。20日前に主治医受診、結膜炎の治療で改善せず、瞬膜が腫脹。1週間前に瞬膜の腫脹が両眼に進行したため来院しました。
初診時において両眼の瞬膜突出、腫脹、充血が認められました。眼科検査では両眼ともに威嚇瞬目反応、眩目反射、対光反射、涙液量、眼圧に特に異常は認められませんでした。血液および血液化学検査所見においても、特に異常は認められませんでした。
鑑別診断リストとして、まず瞬膜の炎症と腫瘍を考えました。炎症性疾患にはプラズマ細胞浸潤、結節性肉芽腫性上強膜角膜炎、眼結節性筋膜炎、濾胞性結膜炎などが、腫瘍にはリンパ腫、他の全身性腫瘍などが考えられました。
瞬膜の擦過スワブ標本において上皮細胞の他、リンパ球、プラズマ細胞が認められ、針吸引生検においてもリンパ球、プラズマ細胞および好中球が採取されたことから、プラズマ細胞浸潤と暫定診断し、プレドニゾロンの全身投与、サイクロスポリンAの局所投与を実施したところ改善が認められました。
現在のところ投薬量を漸減、休薬しても数カ月間再発は認められていないことから、何らかの免疫刺激による炎症性病態が存在したものと考えられました。今後、再発あるいは悪化がみられるようであれば、組織生検などによる精査が必要と思われました。
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2009年12月27日

ブルセラ・カニス抗体が陽性であった犬のブドウ膜炎

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犬のブドウ膜炎の要因のひとつとして、ブルセラ・カニス感染症(以下、ブルセラ症)が報告されています。ブルセラ症によるブドウ膜炎は、肉芽腫性虹彩毛様体炎、浸出性網膜炎および前房蓄膿が特徴とされていますが、日本での報告は少なく発生状況は不明です。
今回、眼瞼痙攣、流涙、角膜浮腫、前房フレア、虹彩・毛様体部の肥厚、視神経乳頭の腫脹、漿液性網膜剥離を特徴とするブドウ膜炎を呈した4例の犬に対し、ブルセラ・カニス抗体を測定したところ陽性であったので、ブルセラ症によるブドウ膜炎を疑いました。
治療により眼症状は良好に反応し全例に改善が認められましたが、4例中2例に再発が認められ、2例に発熱、腰痛、精巣炎、皮膚炎などの全身症状が認められました。また、全例に長期の抗生物質投与を実施しましたがブルセラ・カニス抗体価の陰性化は認められませんでした。4例中2例は良好に経過し、1例は緑内障により視覚喪失、1例は合併症により死亡しました。
ブルセラ症は治療に抵抗性であり、眼症状の改善がみられたとしても、再燃や全身症状の悪化を含め、予後に十分な注意が必要であると考えられました。犬のブルセラ症は本邦においても広く分布していると思われ、典型的な全身症状をともなわなくても、犬のブドウ膜炎の原因のひとつとしてブルセラ症の関与を積極的に疑う必要があると考えられました。
posted by かけはた at 18:09| 眼科診療室 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

犬のVKH様症候群

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犬のブドウ膜皮膚症候群(Uveo-dermatologic Syndrome)は、人のVogt‐小柳‐原田病(VKH disease)に著しく類似していることより、VKH様症候群とも呼ばれています。本疾患はメラノサイトに対する自己免疫疾患であると考えられており、通常、ブドウ膜炎と色素脱失性皮膚炎が同時に進行します。特に秋田犬、サモエド、ハスキーに多発傾向があり、免疫反応を抑制しなければメラノサイトが破壊されるとともに炎症が他の組織に波及し、不可逆的な視機能の障害をきたす恐れがあります。犬ではプレドニゾロンおよびアザチオプリンの投与および漸減維持が推奨されていますが、積極的治療が遅れると続発症の危険が増大します。
人のVKH diseaseにおいて、日本ではステロイド剤の大量療法(パルス療法など)が中心に、欧米などでは免疫抑制剤が投与されることが多いようです。写真の秋田犬はVKH様症候群を呈したため、コハク酸メチルプレドニゾロンによるパルス療法に加えアザチオプリンによる維持療法を実施し、眼症状、皮膚症状ともに改善し良好に維持されました。しかしながら、同疾患に対する薬剤の副作用(肝障害、骨髄抑制など)のために治療を断念せざるをえない場合や、反応が悪く続発症(緑内障、白内障、網膜剥離など)の悪化ために視覚を喪失する場合も少なくありません。
posted by かけはた at 10:49| 眼科診療室 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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