かけはた動物病院
かけはた動物病院のブログ「眼科診療への取り組み」
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2008年03月04日

強膜内シリコンボール挿入術

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強膜内シリコンボール(シリコン義眼)挿入術は、主に視覚を喪失した緑内障眼に対する救護法であり、緑内障末期で牛眼を呈している場合、あるいは様々な緑内障治療を実施したにもかかわらず視覚回復の見込みがない場合に、眼疼痛や角膜障害からの開放を目的に適応される方法のひとつです。また緑内障以外の疾患に対しても、外観上の変化に対する美容形成法として、あるいは看護負担の軽減のために試みる価値のある方法と思われます。
強膜内シリコンボール挿入術の適応例として圧倒的に多いのは牛眼です。牛眼は眼疼痛、角膜障害など様々な問題を引き起こすほか、オーナーや治療に携わる獣医師にとっても非常にストレスとなる病態です。強膜内シリコンボール挿入術は、牛眼および緑内障の苦痛から永久に開放するための救護療法として、生活の質(クオリティー・オブ・ライフ)の向上を期待できる方法と思われます。
写真のラッキーちゃんは驚くほど眼が大きく可愛い顔でした!・・・が、目が閉じられず重度の角膜障害が見られたため、強膜内シリコンボール挿入術を適応しさらに可愛い顔になりました。
posted by かけはた at 18:32| 眼科診療室 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月09日

頬骨腺粘液嚢胞による眼球突出

DSC03568.JPGDSC03569.JPGDSC03567.JPG片側性の眼球突出を主訴に来院した犬2例に頬骨腺粘液嚢胞が認められました。両者とも処置により眼球突出の症状は改善したのですが、1例の患眼は視覚喪失に至りました。
頬骨腺は頬骨弓の腹側、眼窩骨膜の腹側部に面し、上下に扁平な20mm×10mm程度の大きさで犬、猫のみに認められます。導管である頬骨腺管は複数認められますが、特に大きい1本の大頬骨腺管は上顎最後後臼歯付近の頬粘膜に開口しています。
視覚喪失に至った症例には患部の疼痛および血中CRP値の上昇が認められ、超音波検査において眼窩内の占拠病変による眼球の変形が重度でした。治療5日後には眼球突出は改善されたのですが、視覚は戻りませんでした。治療14日後の網膜電位検査がノーマルであったにもかかわらず視覚反応が認められなかったことから、患眼の視覚喪失の原因は頬骨腺粘液嚢胞による視神経の損傷と判断しました。
両者ともに犬種はウェルシュ・コーギーで、上顎最後後臼歯付近の歯肉に炎症がみられました。ウェルシュ・コーギーはバードバイターと呼ばれ、硬いものを思いきり噛む習性があるようです。今回の子たちも硬いものが大好きで、豚の蹄やプラスチックのおもちゃをバリバリと噛むとのこと。今回の原因に関連がありそうです・・・
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2007年10月30日

硝子体動脈遺残がみられた犬の白内障

3498_20070914_Eye_0002.JPG白内障手術を希望しミニチュア・シュナウザー、雄、2歳齢が来院しました。左眼に過熟白内障による視覚障害および超音波検査において硝子体動脈遺残(Persistent Hyaloid Artery: PHA)が認められました。また超音波カラードプラにおいて硝子体動脈に血流が認められました。この白内障はPHAに合併するものと考えられました。初診時において既に過熟期の白内障を呈しており、水晶体後部の透見が不可能であったため、水晶体血管膜過形成遺残/第一次硝子体過形成遺残(PHTVL/PHPV)などの合併は診断できませんでした。
PHAに関連する白内障の治療には、前部硝子体切除術と組み合わせた水晶体後嚢の開窓と硝子体動脈の切断を併用する白内障手術が適応されますが、硝子体動脈が開存している場合や重度のPHTVL/PHPVの白内障手術の予後は、合併症(術中あるいは術後硝子体内出血、牽引帯の形成、網膜剥離など)のリスクが非常に高くなるため、単純な成熟白内障のルーチンな手術よりも注意が必要とされています。また本症例では水晶体の吸収および虚脱が認められたことから、さらに手技が困難になることが予想されたため手術適応外と判断しました。

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2007年08月10日

シーズーに多い網膜剥離

突然の視覚障害を訴えてシーズーが来院しました。眼底検査、超音波検査などで網膜剥離であることがわかりました。
網膜剥離はシーズーに多くみられます。片眼の網膜剥離が検診時に偶然見つかることも少なくありません。おそらくシーズーの眼の形状と興奮しやすい性格、あるいは遺伝的な素因で網膜の異形成があるのかもしれませんが、詳しい解析はなされていません。
今回の網膜剥離による視覚喪失について、両眼の完全網膜剥離が認められますが、網膜血管の萎縮が右眼より左眼で著明であること。網膜の肥厚が右眼より左眼で著明であること。右眼の硝子体混濁に出血痕がみられることから、おそらく左眼の網膜剥離が以前から存在し、今回右眼の網膜剥離が発症したものと推測されます。
網膜剥離の治療には、硝子体手術の設備を備えた施設が必要です。現在、硝子体手術に対応できる動物病院は東京と釧路に2病院があるだけですが、一般の症例に対する治療はまだ確立されておらず、治験段階です。もし飼い主様のご希望がありましたらご紹介させていただきます。教科書的には、現在のところ網膜全剥離に対する確立された治療はありません。
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2007年08月03日

進行性網膜萎縮「人気犬種の遺伝性疾患に注意」

5.kensa.JPGこの数百年の間に、人間の用途に合わせてさまざまな犬種が作り出されました。現在のわが国の人気犬種は小型の愛玩犬です。これら小型犬は繁殖がしやすいことから、望めばすぐに手に入るようになりました。しかし最近になり、交配によって遺伝するさまざまな遺伝性疾患が問題視されるようになってきました。
進行性網膜萎縮は人気犬種であるミニチュア・ダックスフンド、トイ・プードル、シーズーなどに非常によくみられる原因不明の遺伝性疾患で、目の奥の網膜という部分が進行性に萎縮し、視覚が低下して失明してしまいます。多くは6歳くらいで認められますが、早い場合は生後数ヵ月から症状が進行し2歳までに失明します。失明した後に、高い確率で白内障を発症し、さらに重篤な症状を引き起こすこともあります。
この疾患の特徴は、まず暗いところで物が見えにくくなり、さらに進行すると昼間や明るいところでの視覚も低下し、やがて失明します。健康診断などで偶然発見されることもありますが、夜間や暗い場所での行動を注意深く観察することが重要です。ゆっくりと進行するため、気が付かない飼い主さんも多いようです。
残念ながら現在のところ有効な治療法はありませんが、抗酸化剤などのサプリメントが進行を遅らせるのに有効といわれており、早期発見・早期治療が望まれます。定期的な健康診断と普段から行動の変化に注意することが早期発見につながります。また、繁殖に際しても遺伝性疾患を防ぐため、安易な交配を見合わせ、血統をさかのぼった十分な検討が必要です。

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2007年06月01日

ドライアイ「涙不足だけが原因ではありません」

DSC02804.JPG動物は眼の奥にある網膜に、景色や光を映し出すことで物を見る働きをしています。そのためは眼の表面から中心部は透明でなくてはいけません。眼の表面をおおう膜を角膜といいますが、体をおおう皮膚とは違って血管がありません。角膜が透明なのは血液からではなく、涙から酸素と栄養をもらって維持されているからです。涙は主に涙腺で作られ、まばたきによって眼の表面に広げられ、眼の表面を健康に保ちます。
涙は単なる水ではありません。まぶたや角膜、結膜の表面から分泌される油や粘液の成分によって涙の膜として保持され、流れ出してしまうことや蒸発が抑えられています。また涙は血液と同じような成分を含んでおり、眼を潤し、ごみを洗い流すだけではなく、角膜に酸素と栄養を与え、細菌の感染から守っています。
眼の表面に十分な涙の膜が作られない「ドライアイ」の症状は涙の量が少なくなることだけが原因ではありません。まぶたに異常があったり、まばたきがうまくできていないと、涙の量が十分であっても、眼の表面に涙が保持されずに流れてしまったり、すぐに蒸発してしまうことで眼の表面は乾燥してしまいます。
ドライアイになると、眼の表面が酸素不足と栄養不足となり、細菌が増殖しやすくなり、傷が治りにくくなります。進行すると角膜の透明性が失われ視覚障害につながります。初期には結膜炎や目やに、流涙、涙やけなどの症状を示します。目やにあるいは過剰な涙が出ていないか、眼の表面の潤いが十分か、まばたきがしっかりできているか、ペットの眼をじっくり観察してみることも大切です。


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2007年05月14日

愛犬の失明「より深まったきずな」

wnei6.jpg わが家の愛犬ゴンタが突然視覚を失ったのは二歳になったばかりの時でした。階段を昇れなくなって物にぶつかり、いつもの元気な姿がうそのようでした。まさか自分の犬が・・・。それまでゴンタをほとんど診察台に乗せたことがなかったことを悔いました。
 左目はすでに網膜剥離で手遅れ、右目も症状が出始めていました。治療で一時は視覚を取り戻したものの四歳で両目とも失明してしまいました。苦痛を訴えないペットに忍び寄る病気の恐ろしさを、あらためて実感しました。
 早期発見・早期治療が重要であることはいうまでもありません。しかしさまざまな原因で目が見えなくなってしまったペットたちは、飼い主に寄り添っているだけで幸せそうです。
 今年六歳になるゴンタは、日中の自分の場所となった犬舎の居心地もまんざらでもなく、毎朝私と一緒に出勤するのを心待ちにしています。病院裏の空き地で雪の中、スタッフの心配をよそに元気いっぱい駆け回る姿は、院内の癒し犬として立派な役割を担っています。きっと白銀のお散歩コースが見えているのでしょう。

posted by かけはた at 11:05| コラム「ペットと暮らせば」回顧録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月26日

犬の白内障治療「手術は医師と相談を」

 白内障といっても高齢犬だけの病気ではありません。生後数ヵ月の子犬でさえ可能性があり、遺伝的な要因が関与しているといわれています。特にペットブームで人気の犬種に、その傾向が多くみられるようです。犬も白内障になると、目の中の水晶体が白く混濁し視覚が障害されます。飼い主がペットの異常に気付いて連れてくることもあれば、健康診断で偶然見つかることもあります。
 白内障は放っておいても治ることのない病気ですから、何らかの治療が必要になります。主な治療には点眼剤により進行を遅らせる方法と手術により濁った水晶体を取り出す方法があります。海外では眼科専門獣医師が活躍していますが、国内でも犬用眼内レンズが開発され、手術を受けられる施設が増えてきました。
 症状が進行する前に手術を行うのが理想ですが、犬は人よりも手術が難しく合併症も多いこと、全身麻酔や術前・術後の管理が大変なことから、飼い主の理解と協力が必要になります。目だけの問題ではなく糖尿病などの全身疾患に関与する場合もありますので、獣医師とよく相談して治療法を決定してください。

(2002.11 記)

(訂正)
現在は国内でも眼科専門医が活躍しています。また白内障の進行防止のサプリメントなど、期待したいものが続々登場しています。
posted by かけはた at 18:04| コラム「ペットと暮らせば」回顧録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

目の病気「涙や目やには不調の徴候」

wnei1.jpg犬や猫は人に比べて視力が弱いとされています。その分、聴覚や嗅覚が発達しており、視覚障害があっても住み慣れた環境ではすぐに順応し、普通に暮らしていることがよくあります。視覚障害で物にぶつかる、何もないところに向かって吠えるなどの症状が出ず、飼い主も気付かない目の疾患が病院で見つかることも少なくありません。
 視覚障害をひき起こす可能性のある疾患には白内障や緑内障、乾性角結膜炎、網膜剥離、進行性網膜萎縮などがあり、遺伝的な要因も指摘されています。家庭では涙と目やにが増えた点や、目の白濁などから何らかの不調をみつけることもできます。動物の眼疾患は治療が困難なことが多いのですが、白内障手術をはじめとする専門的な眼科治療が可能な病院も徐々に増えてきました。
 長生きが可能になって疾患が多様になるのはペットも人間も同じです。言葉を話せないペットに代わって体の異変を見つけることも獣医師の仕事の一つです。眼疾患に限らず早期発見・早期治療のため、若くて健康であっても年一回の検診をお勧めいたします。

(2002.6 記)
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2007年04月20日

ブログスタート

これは北海道北斗市にあるかけはた動物病院のブログです。

動物も人間と同じように高齢化が進むと共に、眼科疾患も増加傾向にあります。
そのため、当院では眼科診療に特に力を入れて取り組んでおります。
この取り組みの一部をブログとして公開し、お伝えしていきたいと思っております。
皆様の大切なパートナーである動物の診療の様子や、全国の眼科専門医の先生方との最新の眼科診療の情報交換の様子などを掲載していきたいと考えておりますので、是非ご覧ください。
posted by かけはた at 15:17| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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